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第39話 図書室の無邪気な笑み

last update Last Updated: 2025-12-22 09:30:25

 ──翌朝。朝食を取ってすぐ、イルゼは図書室に来ていた。

 本日の行程は、本棚の中の清掃。そして、落ちた塵をすべてモップで掃く。これだけやれば、きっと綺麗になるだろう。

 ピタリと閉ざした窓を開けると、緑の匂いをたっぷりと含んだ初夏の風が入り込み、イルゼは深く深呼吸した。

 昨日長い時間換気したお陰もあって、カビ臭さは幾分かマシになっていた。否、自分の鼻が麻痺してしまっただけかもしれないが……。そんなことを思いつつ、イルゼは早速本棚の掃除を始めた。

 昨日の失敗を踏まえたお陰か、本棚掃除は思った以上に捗った。

 正午になる前にはすべての本棚の清掃が終わり、残りは掃き掃除をしてモップがけで終わり。ここまでくれば、あとひとふんばりだ。

 イルゼは早速、箒で部屋の隅から掃き始めて間もなくだった。

「おぉ~すげぇ。カビ臭さが薄くなってる」

 間伸びた声が部屋の外からして、慌てて振り返るとミヒャエルの姿があった。

 彼は濃紺の下衣のポケットに手を突っ込んでツカツカと図書室に踏入ってきた。しかし、歩くとなかなかに猫背で姿勢が悪い。

「……おはようございます」

 ミヒャエル様と彼の名を付けて言いそうになるが、すぐにイルゼは口を噤む。

 きっと〝様〟とかつけるなだと言われるので面倒だ。それに、あまり彼の名を呼べば、本当の名前をうっかり口走るのではないかと恐れてしまい、あれからというものの、口頭で彼の名前を極力呼ばないように注意している。

 だが、彼は口を噤んだイルゼを気にする様子もなく、ニマっと口角を緩めた。

「やー。もう昼前だね。イルゼ集中して頑張ってたのかなぁ?」

 偉いぞ~なんて間延びした調子で褒められるのがむず痒い。

 頬をほんのり染めてイルゼが壁掛け時計を確認すると、確かにもう午前十一時三十分を過ぎている。

 彼は仕事中ではないだろうか。もうすぐ昼食の時間になるので、もしや、呼びに来てくれたのか…&hell
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